スキップしてメイン コンテンツに移動

Q.「技術者が中央に集中してしまう流れは止められないのか」

In responce to:
田舎Ruby親方:プログラマの東京集中は止まらない
東京に集中とか地方でプログラマとか - HsbtDiary

@hsbtさんに名指しされたので、ちょっと長文書いてみましょうか。



問題提起は「技術者が中央に集中してしまう流れは止められないのか」ということ。
僕の結論は「今は止まらないし、手を打たないといつまでも止められない」になる。

技術者が中央に集中する地方の要因は三つ。
  • 人件費が低い
  • 業務に新規性が無い
  • 一つの技術を追求することが難しい
その要因が発生する原因は二つ。
  • 案件数が少ない
  • 案件規模が小さい


(1)案件数が少ない
2005年度調査では、東京都の人口は1257万、北海道は562万。実に2.5倍の人口差があるわけで、もちろんその分企業の数にも差が出てくる。結果、東京での案件数に比べ、北海道の案件数は非常に少ない。
そもそも企業規模が小さく為、ちょっとPCに詳しい人がパッケージソフトウェアをマクロでカスタマイズしたようなシステムで事業が事足りていることが多く、外部に発注するようなシステムを必要としない。外部発注が必要な規模のシステムだと官公庁・文教(大学等)・金融・病院・大規模流通会社くらいだろうが、この辺は東京本社の大手ベンダががっつり抑えているし、発注側も実績の無いような中小企業になんて出さない。結果実績のある大手ベンダが抑え、その下に中小企業が孫請けひ孫請けで張り付く、という所謂IT土方の流れが構成されて切り崩せない。これじゃ地元にお金が落ちないよね、と地方自治体は地元企業指定で案件入札かけるが、そうは言っても大規模システムを受注しきれるような体力のある会社は地方にあるはずも無く「名前だけ地元企業→大手ベンダが子請け→更に中小企業が孫請け」というラインが出来る。
この階層請負システムのせいで、更に昨今の不況が加わって、案件単価はどんどん下がり、その分中小企業の人件費がどんどん叩かれるし、案件を取るだけの体力の無い会社はバンバン潰れていく。そうすると雇用枠自体が少なくなり、結果地方から中央への人材の流出が発生するわけだ。正直なところ、東京と地方では、生活コストにはまだ差があるにせよ、物価というレベルではほとんど大差無い。しかし単価で言えば3~4倍の差があるのが実情。それはIT土方システムの中で中抜きされてる分に加え、単価競争というバッドスパイラルが大きな要因になっている。

(2)案件規模が小さい
地方は人口が少ない分企業規模も小さい。そうすると案件規模も小さいものしか出てこない。東京では億単位の案件を経験する事も良くあるだろうけれど、地方でいえば大きくて数千万規模くらい。
案件規模が小さい以上、一つのプロジェクトに大人数を割くことが出来ず、小規模人数でのプロジェクトになる。システムの規模がそこそこあるのに小規模人数で行わなければいけない場合、どういうことが起きるかというと、一人当たりの担当技術の幅が広がるわけだ。大規模案件ではサーバ系、ネットワーク系、バックアップ/ストレージ系、アプリケーション系、セキュリティ系と、技術の種類によって担当チームを分けることが出来る。しかし小規模案件では、一人で設計から構築・保守まで、サーバもネットワークもバックアップ/ストレージもセキュリティも、場合によってはアプリケーションまで面倒を見る必要が出てくる。
そうなると一つの技術を深く追求することが出来ず、結果地方では「広く浅く」の技術者が多くなる。また「広く浅く」の技術者が集まってシステムを構築する以上、新しい技術や珍しい技術にチャレンジするだけの時間も金も余裕も無い。一つの案件で試せる新技術は一つか二つ、他は過去に経験したシステムからの流用で済ます。そうすると技術の最先端を望むような技術者にとっては「楽しくない」と感じてしまうことになる。新しい技術、大規模案件でしか適用できないような技術にチャレンジしたのであれば、中央で仕事をするほうが機会は多くなる。


つまり、中央に出るべき人材は
  • 大規模な仕事をしたい人
  • 新しい技術or高額な機械を使うような仕事をしたい人
である。
ちなみに僕は中央で仕事をすることを自社で推奨しているし、出来れば東京での案件を受注しようとしている。それは何故かというと、(1)新しい技術を使って仕事をする機会が得られること、(2)地方では触れないような高額な機械を使った設計構築が出来ること、(3)地方と中央でのビジネススピードの差を感じることが出来ることだ。もちろん永住して欲しいとは思っておらず、2,3年短期で東京での仕事を経験し、その経験を地方に帰ってきてから活かして欲しい、という事なんだけど。


では、技術者の中央集中を防ぎ、地方に技術者を留める為にはどうしたら良いのか?逆に考えていけば
  1. 地方でも新しい技術or高額な機械を使えるような仕事があれば良い
  2. その為には、地方で大規模な仕事があれば良い
のだが、もちろんそう簡単にはいかない。前述したとおり、まず現在は人件費がどんどんカットされ、雇用自体が減っている状態なのだ。まずは地方に技術者が留まれるだけの雇用を用意する事、その中で大手ベンダに依存しない業務(例えば新しいWebサービスだったり、新しいパッケージだったり)が生まれること、そしてその業務に憧れた技術者がまた地方に留まっていくこと。そんなグッドスパイラルが構築されないと、地方の技術者を取り巻く環境はどんどん疲弊していくだけなんじゃないだろうか。


以上が僕が認識している現実。以下は僕の思い。上記の通り、まずは地方で雇用を確保し、技術者が留まる土壌を作ることが、今の僕のミッションだと思っている。正直なところ僕は自分の技術者としてのクリエイティビティは諦めていて、僕が新しい何かを生み出すことは出来ないと思っているけれど、その新しい何かを生み出すことが出来る技術者を、北海道で育てることこそが、僕のやるべきことなんじゃないかと思ってる。僕が今までやってきた通り、中央にある案件を(技術的に面白みが無いとしても)地方に移し、地方で雇用を確保する。これがまず第一歩だと思うのだ。僕は北海道という土地で、技術者の為に土地を耕し、種を植えたい。いつか大きな花が生まれ、北海道を技術者の楽園にして欲しい。そう願ってる。

さて、この辺の話には@snoozer05さんとか@bokusamaさんが色々想いを抱えてるんじゃないかなーと思っているので(無茶振り)いつかお互いにアプトプットし合いたいなと思う。

このブログの人気の投稿

40代の減量戦略 〜体重-14kg、体脂肪率-12%を実現した具体的な方法〜

コロナ禍はもちろん辛い時期ではあったけど、生活習慣が良い方へ大きく変わた時期でもあった。具体的には食生活がほぼ自炊になり、酒量が減り、ジム通いを再開し、マラソン大会にも定期的に参加した。そんな中で一念発起し、きちんと減量に取り組んで、体重75kg→61kg(-14kg)、体脂肪率25%→13%(-12%)を実現した。 具体的な体重遷移は以下。2020年12月がMAXの75kg、その後減量とリバウンドを繰り返しつつ70kg前後を推移、2022年後半で一気に落とし、2023年1月30日時点で61kgとなった。 そこで、その具体的な方法をお伝えしたい。減量とは3つの要素の組み合わせだ。 食事 運動 休養 この順番はそのまま優先順位でもある。それぞれについて以下に説明する。 0.プロにアドバイスをもらう 3つの要素と言ったがあれは嘘だ。すまない。もっと重要なことがある。それはプロにアドバイスをもらうことだ。 WHO NOT HOWという本がある。 WHO NOT HOW 「どうやるか」ではなく「誰とやるか」  posted with AmaQuick at 2023.01.21 ディスカヴァー・トゥエンティワン (2022-05-27T00:00:01Z) ダン・サリヴァン(著), ベンジャミン・ハーディ(著), 森由 美子(翻訳) Amazon.co.jpで詳細を見る 要約すると、起業家や経営者がやるべきことはビジネスを成功させることだけれど、人は皆スーパーマンではなく、得意なことと不得意なことがあるんだから、得意なことは得意な人に一任することが大事なんだよ、という内容の本。 これは減量についても同じ。本を読んだりYoutubeで動画を見て、実際に減量出来たのであればそれはそれで構わないし、そういう人はこのブログ投稿を読まないだろう。 自分で学んで、自分でチャレンジして、それでも減量出来ないのであれば、素直に投資してプロのアドバイスをもらったほうが効率が良い。具体的にはパーソナルトレーナーだ。パーソナルトレーナーは運動生理学やスポーツ栄養学などについて学び実践してきた人

初めての給与交渉で意識するべき6つのポイント

本記事は、社会人となって1〜3年目くらいの方が、給与アップのためにどのように考え、どのようにアクションするべきなのかを、僕の経験を踏まえてまとめたものです。 背景として、僕が初めて働いたIT企業は、年棒制で給与交渉は各自が行うものであり、年次で成果レポートと希望する年収額を会社に提示し、それが査定されて翌年の年俸が確定する、という制度でした。なので僕自身は若い頃からずっと給与交渉をし続けています。 大前提:給与とは与えられるものではなく勝ち取るものである 給与は勝手に上がるものではありません。自分の努力や成果を誰か(=会社や上長)が適切に判断し公平に給与を払ってくれる、なんてことはありません。何故なら多くの仕事は定量的なだけでは評価できず、そこに定性的な判断を必要とするからです。そして人間に公平で完璧な意思決定を求めるのはそもそも無理です。人間は感情的で、多くのバイアスを持ち、その時々のコンディションで常に意思決定が歪みます。だからこそ、定性的な評価に関する成果は、被評価者自身が自らアピールしないと評価者に正しく伝わりません(ただしアピールしたところで正しく伝わらないこともあります) もちろん定量的なだけで評価できる仕事は世の中にはあるし、その場合は給与はその成果に比例して決まり、人間の判断は必要としません。でもそうではない、定性的な評価が含まれる仕事をしているのであれば、自ら自分が何をし、どのような成果を出したのかを、きちんと会社に伝え、その分の給与を要求する、というアクションが必要になります。 大前提:給与は会社が儲かっていないと上がらない これもまぁ当たり前ですよね。会社は利益が出てるから社員に投資できる=社員の給与を上げられるわけで、利益が出てなかったらその個人がどんなに頑張ったところで給与は上がりません。何故なら給与を上げるための原資が無いからです。 だから、利益が無い会社に所属しているのであれば、給与交渉はそもそも無駄です。だって交渉しても上がるわけないし。その場合は、給与アップが必須なのであれば転職を検討するしかないし、給与アップしなくてもメリットがあるのであればその会社に在籍し続ける、という選択が必要になります。 目標と現状のギャップを把握する 具体的な希望も無く「給与上げてください」と言うのは給与交渉ではありません。これだと会社もどのくらい上げてほ

45歳になりました

この1年は激動の年でした。 振り返りと抱負です。 個人 相変わらず筋トレを続けています。 バルクアップと減量を繰り返すことで体型がだいぶ変わってきました。 一度絞り切る経験をしてみたいので、夏に向けて減量頑張ってます。 マラソンについては去年よりペースダウンしようと思っています。 今年は1月勝田全国マラソン、2月の北九州マラソンと走って、次は8月の北海道マラソンまでは軽いものにしか出ない予定。 今年もスキーには行けませんでした。 来年は復活したい。 家族 結婚して家を出た長女と長女の夫とは仲良くしています。 月1回くらいは一緒にご飯食べたり飲みに行ったりしています。 RSR23は僕の弟も入れて4人で参戦。とても楽しかったので今年も4人で参戦予定。 一人暮らししていた長男がまた実家住まいに。 相変わらずチャラチャラしてるけどとりあえず自分の食い扶持くらいは稼いでるのでまぁ良いとしよう。 次男は今年高校3年生に。 このまま卒業まで頑張ってほしい。 犬と猫3匹とウサギ1匹は今日も元気です。 飼育放棄されていた犬を一時的に預かり中。 短期的な預かりで、次の飼い主が1−2ヶ月後には迎えに来る予定。 犬が2匹いる生活はなかなか大変でバタバタしています。 妻とは今まで通り仲良しです。 長女が結婚したことで「子どもたちが全員自立した後の夫婦」が目前に近づいてきたせいか、なんなら過去イチで仲良しです。 いつもありがとう妻様。愛してるよ。 仕事 コロナ禍が収束モードとなるのと同時に出張が激増しました。 毎週東京に出張することになって、コロナ以前と同じように東京に拠点となる部屋を作り、年間2/3は自宅を不在にする状況に。 家庭も大事なので、週半分くらいは自宅にいられるようにしたいところ。 仕事人生のゴールを見据え始めました。 45歳なので、60歳が定年だと残り15年。定年後再雇用があっても20年。残りの仕事人生をどう過ごし、どう終わらせるべきなのか。人生の転機に差し掛かってるのかなと感じています。 子育ての終わりが見え始めたこともあり、自分自身の人生を改めて考える必要が出てきたのだと思います。 諸先輩方の考えや経験をたくさん聞いて悩んでいこうと思っていますので、皆さん、ぜひ僕とお話させてください。 誕生日プレゼント こちらで絶賛受付中 です。 過去のお誕生日 2008年: smokeym