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多様性を認めるとは、全ての多様性を受け入れてサポートすることではない

前提として、価値観は多様なものであり、その多様性は認められるべきです。その上で。

例えばLGBTの文脈で言えば、全ての身体性、性的指向、性自認は多様性の一要素であって、どのような考え方であっても認められるべきです。僕も全ての身体性、性的指向、性自認に対し平等に接しますし、どのような形でも差別はしません。
しかし、僕の恋愛対象は女性であるため、もし男性に恋愛関係となることを求められても、お断りします。男性の恋愛対象が男性であることは全く問題ありませんし尊重しますが、僕の恋愛対象とは合致しないため受け入れることは出来ません。

例えば仕事で言えば「勉強する人、協力的な人、責任感がある人、プロアクティブに行動出来る人、成長意欲がある人、積極的に感謝を伝える人、チャレンジ意欲が高い人」などもいますし、反面「勉強しない人、非協力的な人、責任を持つことが嫌いな人、指示されたことだけをしたい人、成長意欲が無い人、感謝を伝えるのが嫌いな人、チャレンジはしたくない人」などもいます。これらは各個人の才能や能力や性格や主義主張に基づくものなので、どのような人であってもそれ自体を否定することも侮蔑することもしません。
しかし、僕が一緒に仕事したいのは前者のような人です。

多様性を認めるとは、全ての多様性を受け入れてサポートすることではありません。僕は全ての多様性を認めますが、受け入れてサポートする相手を選択する自由はあくまで僕にあり、サポートしないことがイコール多様性を認めていないことにはなりません。

これは企業においても同様です。多くの企業ではダイバーシティを掲げ、多様性を認めることを前提としています。しかし実際に採用するのは、その企業の理念を達成するだけの能力と、その企業のカルチャーにマッチした主義主張や行動を持つ人です。それは差別ではないし多様性を認めていないことではありません。単に企業のヴィジョンやミッションやバリューに照らし合わせて合理的だからです。能力が満たない人やカルチャーにマッチしない人を採用することは非合理的だからです。

「多様性」はすごく良い概念です。Ruby開発者のまつもとゆきひろさんの言葉で「多様性は善」というものがありますが、これは全ての文脈において正しいと僕は考えています。がしかし、多様性とは便利な言葉でもあります。多様性を「できない」や「やらない」の言い訳として使うのは自分自身を貶めることに繋がります。多様性という言葉を使うとき、それが肯定的であるか、誰かや何かを認める意味で使われているかを、常に振り返って考えたいものです。


英治出版 (2015-08-22T00:00:00.000Z)
エリン・メイヤー(著), 田岡恵(著), 樋口武志(翻訳)

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