オンライン会議の基本的な進め方
昨日のエントリーもそうだけど、絶対的な正解がなく個人の主観や好みに依存するようなものは個人ブログに、そうじゃないものは会社ブログに書くようにしていて、今日のエントリーもそういう類のものです。
会社がフルリモートワーク体制になってから、今までは暗黙知とされていたものが伝わりきれていない、と感じることが多くなりました。会議の基本的な進め方もそうで、これまではなんとなく継承されていた会議の前提条件が、人によって解釈が違ったり手法が違ったりする場面によく出会うようになりました。これを解消するために、社内共有資料として「オンライン会議の基本的な進め方」を作成し、自部門に提示しました。
昨年話題になったGitLabのリモートワークマニフェストなどに代表されるように、リモートワーク環境においては、これまで暗黙知として共有されていた仕事のやり方を形式知=ドキュメントにして共有することは非常に重要です。同じフロアや同じ会議室で隣り合っていたときは雰囲気で伝わっていたことが、リモートワーク環境において同じように伝わることは決してありません。誰もが具体的かつ明示的に正しく理解できるように、同じ情報ソースを確認できる状況を作る必要があります。これは仕事のやり方だけではなく経営方針や事業戦略に関しても同様で、口頭やチャットでちょっと書くだけでは全員が同じ認識になるのは難しく、きちんとドキュメントに落とし込んでメンバーに提示する必要があります。
オンライン会議においてもドキュメント化が重要なポイントになります。つまりアジェンダ、議事録、ネクストアクション(タスク)です。本来はオフライン会議でも重要だったはずなのですが、その距離の近さから軽視されたり、その場の雰囲気で無視されてきました。しかしオンライン会議ではオフライン会議以上にしっかりとアウトプットしないと、会議の目的が達成できなくなってしまいます。
以下が、社内共有資料である「オンライン会議の基本的な進め方」です。
オンライン会議の基本的な進め方
会議前
アジェンダを作成する
会議全体の目的を明確にする。
大きく「報告/共有」「議論/決定」「提案(アイデア出し、ブレスト)」の3つに分類される。
会議体を明確にする。
1回で終わる会議なのか、定例会なのか、どのくらいの周期で行うのか。
アジェンダを明確にする。
アジェンダごとに必要な付加情報を記載する。
ex.)資料、社内Wiki、Slackのリンク、e.t.c.
不要な情報を記載せず、必要な情報のみに絞り込むこと。
アジェンダに期待されるゴールを記載する。
アジェンダのゴールに対し選択肢が絞られている場合は記載する。
事前にアクションが求められる場合はその旨を明記する。
ex.)意見の取りまとめ、資料や案の作成、e.t.c.
意思決定が行われる場合はその方法を明確にする。
意思決定をする人が決まっているのであれば、誰が意思決定するのかを記載しておく。(ex.)施策オーナー、プロダクトマネージャー、e.t.c.)
意思決定は個人ではなく多数決でも良い。
ゴール後のアクションを記載する。
アジェンダを読み直し、会議を実行する必要性がなければ実行しない。
テキストベースのやり取りで充分な場合はSlackで完結させる。
それでも会議が必要な場合は怖れず会議を設定する。
参加者を明確にする。
参加必須メンバーと任意参加メンバーを明確にする。
任意参加メンバーはその必要性を考えて決める。不要なメンバーを招待しないこと。
ただし必要なメンバーを招待することに臆病になってはならない。
司会進行係と議事録係を決めておく。
参加方法を明確にする。
オフラインの場合は会議室を確保する。
オンラインの場合は使用するツールを明確にする。
会議日程を確定する。
スケジュールを調整する。
参加必須メンバーのスケジュールを確認し、全員が参加できる日時を指定する。
会議時間は長すぎず短すぎずで調整する。不用意に長く取らないこと。また不足しないこと。
スケジュールの概要に会議全体の目的を簡単に記載する。
スケジュールからアジェンダを参照可能にする。
スケジュールの概要にオンライン会議で使用するツールを記載する。
会議日程、会議全体の目的、アジェンダを会議参加者に共有する。
参加者は以下を行う。
事前にアジェンダを確認し、自分の役割を把握する。
アジェンダを確認した上で自分の役割がない場合は、理由を含めて会議調整者に伝え、参加辞退の許可を得る。
事前にアジェンダの付加情報を確認する。
アクションが求められている場合は会議前に実施する。
使用するオンライン会議ツールのセットアップと利用方法を確認する。
会議中
- 参加必須メンバーが全員揃っていることを確認する。
会議全体の目的を改めて伝える。
司会進行係と議事録係が誰なのか認識を合わせる。
会議とチャットが併用される場合は、そのチャットがどこか(ツール、チャンネル、スレッド)を伝える。
アジェンダに従って会議を進行する。
アジェンダに期待されるゴールに向かうようにファシリテートする。
アジェンダから逸れたり、飛躍したり、矛盾がある場合は修正する。
ゴールに達した場合、達したことを全員で認識合わせする。
ゴール後のアクションがあれば、以下を明確にする。
具体的なアクション
担当者
実行期日
期待されるアウトプット
以上の全てを議事録に記載する。
議論箇所は簡易的で良い。
重要事項、ゴール及びアクションは必ず5W1Hを明確にして記載する。
会議が予定時間より早く終る場合には時間に拘らず解散する。
参加者は以下を意識する。
会議時間前に会議室またはオンライン会議にジョインする。
カメラはオフでも構わないが、伝えられる情報量が少ないことを意識して発言する。
マイクのミュートは状況に応じて使い分ける。
不用意に司会進行を妨げない。
常にアジェンダとゴールを意識して発言する。
他者の発言を妨げず、質問や意見をする場合はタイミングを見計らう。
難しい場合はSlackやオンライン会議ツールのチャットを使う。
ファシリテートが混乱している場合はサポートする。
ゴールとアクションは必ず確認し、異議があればその場で伝える。
会議後に異議を伝えるのは参加者全員の効率を下げるので行わないこと。
5W1Hが不明瞭、または理解出来ない場合はその旨を伝えて正しく理解すること。
会議後
- 決定事項、アクション、アクションごとの情報を会議参加者に共有する。
議事録を参加者及び情報が必要な非参加者に共有する。
定例会の場合、本当に必要な定例会なのか、周期は妥当かを再確認する。
参加者は以下を意識する。
自分が行うべきアクションは必ず実施し、完了後は報告する。
森 時彦(著)