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正論を語るより裏取引をかわそう

タイトルはノリで付けました。

ある問題に対して複数の関係者が議論を行う場合、正論をぶつけ合うことで議論が進まなくなるケースが多々あります。その原因の多くは「正論を語るスキルの低さ」です。

そもそも正論とは「道理にかなった議論」を指し、道理とは「物事の正しいすじみち」を指します。で、物事の正しさって何だよって感じちゃうと思うのですが、ビジネスシーンにおける物事の正しさは社会通念やビジネスマナーを指します。社会通念やビジネスマナーは(全てが文字として起こされているわけではないですが)ある程度まで共通認識となっており、そこから外れていないことがビジネスシーンにおける正論です。

で、ビジネス上で発生した問題に対して議論する場合、ありがちなのが正論が正論だけじゃなくなっちゃうことです。以下のような感じですね。

  1. AがBした(事実)これはビジネスマナー違反(正論)
  2. AがBした(事実)本来はCするべき(意見の表明)
  3. AがBした(事実)誰がどう責任取るんだ(追求)
1は事実と正論の組み合わせなので、社会通念やビジネスマナーに関する認識に齟齬がない限りは異論は出ないと思います。しかし、2のような意見はそれぞれの立場によって変わってくるので最初から正解を導き出すのは難しいですし、3のように追求をセットにすると事実の話ではなく追求がメインテーマになりがちです。
でも本来この議論がやりたいのは、お互いに言いたいことを言うことではないし、追求ではなく解決策の認識合わせなのに、意見の表明や追求に時間を取られることで議論が発散しがちです。

僕は自他共に認める効率厨なので、不要な議論で無駄に時間を使うのは好きじゃありません。ブレストならともかく、問題が明確なのに議論を無駄に発散させて本筋を見失うのはイライラしちゃいます。

そこでおすすめは裏取引です。裏取引というと言葉が悪いんですが、それぞれの関係者の中である程度の裁量を持つメンバー同士で事前に認識合わせを行い、事実確認と落とし所の方向性を決めておきます。
最終的な落とし所自体は議論の上で決まるものなので事前に確定させることは難しいでしょう(し、そもそも事前に確定出来るのであれば関係者打ち合わせはショーでしかないのでやる意味がない)が、落とし所の方向性だけ決めておけば議論を発散させることなく収束することが出来ます。言うなれば、ここで言う裏取引はゴールを決めるのではなく、議論のガードレールを作っておくことです。事前にアジェンダを作っておくことも1つのガードレールですが、議論の中心となるメンバー同士で方向性を握っておくと、更に本質的な議論が出来ると僕は考えています。

じゃあ正論はいらないのか、というとそんなことはありません。社会通念やビジネスマナーに反するようなことについてはしっかりと伝え、認識をあわせていくことは必要です。そこが揃っていないと一緒にビジネスなんか出来ませんしね。正論を上手く使いながらも、ちゃんと落とし所を探ることが、関係性の向上に繋がります。

ビーグラム (2002-08-25T00:00:01Z)
WANDS(アーティスト)

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