読了:沖方丁:[ばいばい、アース]

ただしくエンターテイメント。

この感受性が高ぶる物語、というか誌的世界は、神林長平的でさえあるかも。僕は先に「マルドゥック・スクランブル」を読了していたんだけど、陰鬱な心の表現、激しいアクションの見栄えの良さ(止め絵が多いのは多少気になるにせよ)、そしてその言葉遊びの斬新さ。僕は基本的に、読書の感想の中で未読の人が物語のネタバレになるような事は書かないようにしてるんだけど、それにしてもひとつだけ言わせて欲しい、「NOWHERE」は見事でした。

ある意味タイトル自体が出落ちみたいなもんで、誰しもが予測するとおり地球の終わりの後の物語なんだけど、そのラストに至るまでの流れは...いやすごいね。どこまでが当初練りこんでいたネタだったのかと思うくらい様々な複線が絡み合っている。もちろん吸収仕切れなかったところや読み取るのが難しい部分もあるんだけれど、抒情詩的な読み方をすれば傑作だと思います。僕は感動しました。

それにしても、ハードカバーが天野喜孝カバー絵だったのに、この文庫版の絵は...いやこれはこれ、なのかも知れないけれど、もっとソリッドな感じが良かったなぁと思います。マルドゥック・スクランブルと同じく寺田克也とかね。そういやマルドゥック・スクランブルも2006年にアニメ化(後に製作中止)の話題が出たとき、キャラデザが村田蓮爾でがっかりしました。いや村田蓮爾の絵自体は好きなんだけど、イメージが違うっつーか。それと同じ印象をこの文庫版カバー絵にもってしまいますね。

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