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読了:神林長平:[魂の駆動体]&僕のクルマの話

魂の駆動体 (ハヤカワ文庫JA)
神林 長平
早川書房
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全人類を精神体シェルターに格納する、というのは「小指の先の天使」でもあったモチーフでしたが(あれ、そーいやゼーガペインもそうだっけ)、今回はそのモチーフを背骨に、クルマや「物を作る」ということの魅力を肉付けした物語です。すごく面白かったんだけど、ここで僕が伝えたいのはその感想では無くて、この小説を読んで思い出した、僕の乗っていた車の話です。

免許を取得した当初は親の車(日産・サニー→トヨタ・スターレット)に乗っていて、その後初めて自分で購入したのは中古のはダイハツ・ミラ・パルコでした。込み込みで10万という、値段も破格ならボロさも超絶。しかしぶつけてもこすっても頑丈に走ってくれました。

その後正社員として就職し、初めて買ったのが、昔からどうしてもどうしても欲しかった夢の車、VW TYPE-1。1947年製、色はベージュ、オーバルウィンドウで、ブレーキランプがウィンカーも兼ねたタイプです。エンジンを新品に乗せ変えてレストアされた、素晴らしいヒストリック・カーでした。

もちろん、レストアカーらしく、さまざまなトラブルに見舞われました。購入当初はマフラーから直接ガソリンが噴出し、エンジンの調整が甘くて回転数が低くすぐにエンスト。フロントガラスから雨漏りするわ、クラクションを鳴らしたらクラクションボタンが飛んでくわ、走行中にワイパー吹っ飛ぶわ、夏は暑いわ、暖房用のジェットヒーターを別付けしたからガソリンスタンドではエンジン用のハイオクとジェットヒーター用の軽油を給油してもらう必要があるわ、真冬にエンジンが動かなくなり薄野交番前でおまわりさんに怒られながら友達に牽引してもらうわ、シートベルト付いてないから走行中に検問で引っかかって「すみません、最初から付いてないんです」って言ったらおまわりさんに苦笑いされるわ、ガソリンタンクがフロントに設置されているため彼女には「車内がガソリン臭い」ってブースカ言われるわ、もう散々です。

しかし、だからこそ面白い。なかなか回転数が安定しないエンジンを、少しずつ回しながら安定させる。安定走行したときの水平4気筒の音は最高でした。ラジオが壊れていたけど、エンジンの音が聞こえていれば、他に音なんていらないくらい気持ちよく過ごせました。本気で愛称(ハーヴィ)を付けて呼んでました。こんなにモノに恋したのは、後にも先にもこれが最後です。

その後結婚し、妻が妊娠。ちょうどチャイルドシートが法令化されたころで、シートベルトの無い車を維持するのは、生活的に無理でした。泣く泣く手放し、ファミリー用の大きなワゴンを購入。今に至ります。

またいつか、あのTYPE-1のようなヒストリック・カーを手に入れたい、乗りたいと思っていますが、僕も子供を3人抱える身ですし、難しいでしょう。しかし、僕が仕事以外に一生かけてでも叶えたいと思っているのは、この「自分の好きな車に乗りたい」という夢だけです。欲しい車はいっぱいあります。もちろんまたTYPE-1にも乗りたいし、TYPE-2にも憧れるし、MINIバンも好きだし、チンクも2CVも欲しいです。さすがにスーパーセブンまではいかないけれど...50歳になるまでには、自分の好きな車に乗ることを目指します。

今もどこかの空の下で、僕がかつて愛したオーバルのTYPE-1は、気持ちよく走っているのだろうと、思いを馳せています。

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