「相手ができない」んじゃなくて「自分がたまたまできる」という考え方
僕の妻は朝が苦手だ。早起きが出来ない。起きようという意思があり、目覚まし時計をたくさんセットしたとしても、起きれない。早く寝ても起きれない。本人曰く、起きようと思っても頭や体が全く動かないらしい。動くようになった時間が起きる時間だ。
正直に言えば、昔の僕はソレを甘えだと思っていた。努力すれば起きれるでしょ、体調管理は自己責任だし、早起きする方法なんてたくさんある。僕は就寝時間や起床時間のコントロールが得意なほうで、早く寝ようと思えばいくらでも早く寝れるし、逆にどんなに早い時間でも目覚まし時計をかければピタッと起きられる。だから、貴方にも出来るはずだ。そう考えていた。
ごめんなさい。これは悪い考え方だった。沢山の人たちの話を聞いていくと、確かにどんなに努力しても起きられない人というのはいるのだ。どんなに頑張ってもどんな手段を使っても、絶対に起きられない、という人が。
この認識を得てから、僕は考え方を変えた。妻が起きられないんじゃなくて、僕がたまたま起きられるだけなんだと。
どんな関係性でも、どんな物事でも、これは当てはまる。読みやすい文章が書けない、電話でスムーズに受け答え出来ない、整理整頓出来ない、大事なことをすぐに忘れてしまう...なんでも。相手が出来ないんじゃなくて、自分がたまたま出来るだけなんだ。
すると、解決方法が見えてくる。本人では解決出来ないことを努力でなんとかするのは無理だ。例えば朝ではなく昼から働くとか、文章を書くような業務はしないとか、電話には出ない業務をするとか、整理整頓をアウトソーシングするとか、タスク管理ツールを使うとか、努力ではなく手段によって解決する道筋が見えてくる。
念の為。これはもちろん、誰でも自由に好き勝手させるべき、みたいな話じゃない。起床時間がコントロール出来ない人はおそらく営業職には向かない。でも顧客との打ち合わせが無いような仕事であれば、別に昼から働いたって問題ない。可能な範囲で本人の特性を尊重してあげたほうが良いし、課題は策によって解決すべきで努力じゃ解決出来ない、ということだ。
もし誰かに対して「なんでこんな事もできないの?」と思ってしまったのなら、一呼吸置いて考えてみて欲しい。「相手ができない」んじゃなくて「自分がたまたまできる」んじゃないかと。相手ができないことを受け入れて、自分の価値観で努力を押し付けるのはやめよう。
この考え方はきっと、貴方を人生を生きやすくするはずだ。
エリン・メイヤー(著), 田岡恵(著), 樋口武志(翻訳)