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転職サイト登録のススメと、それに対して経営者がやるべきこと

僕はかれこれ20年近くピープルマネージメント職に付いているので、たくさんのメンバーから人生やキャリアについて相談されて来たんだけれど、実際に会話すると多くの人がキャリアに対して明確なビジョンを持っていない、という実感がある。

例えば、僕が良く聞く質問に「5年後どうなりたいですか?」というざっくりしたものがあるんだけど「今の仕事を頑張りたい」とか「今やっている仕事の内容をより良い形に変えていきたい」という回答が多い。仕事が目的になっていて、その仕事が生み出す結果やその仕事をしている自分の姿に対して考えたことがない人が大半だ。

(余談だけど、僕が20代の頃は「社長になりたい」とずっと思っていて、前職では常にその話をしていた。当時の社長はそれをよく理解してくれていて、僕に社長業について色んなことを教えてくれた。結果として管理職でいることが嫌になってエンジニアとして他社に転職したので、その社長の期待に応えられなかったことは今でも申し訳なかったなと思ってる。まぁ今取締役なんですけどね...)

で、だ。なんでだろう?と考えたときに「そもそも自分の市場価値をちゃんと理解していないんじゃないか」という風に感じた。自分のスキルや経験が何に活かせるのか、給与に換算したときにいくらの価値があるのか、どのくらい需要があるのか、ということを知る機会がないから、今やってる仕事や今所属している会社というミクロなベースでしかキャリアを考えられないんじゃないか、ということだ。

もちろん、今やってる仕事を一生懸命やれば結果としてキャリアが形成される、という考え方もあるだろう。しかし多くの人にとって働く時間はたかだか40年ちょっとしか無い。であれば、ある程度ビジョンを持ってキャリアを形成したほうが効率的だと僕は思う。もちろん結果的に違うキャリアになっていることだってあるだろう、でも自分のことを全く知らないまま、ただ日々の仕事を処理するだけでは、新しいチャレンジは出来ない。

そこで僕は「自分の市場価値を適切に知った上で将来のキャリアを考えるのはとても重要なので、是非転職サイトに登録して、自分の市場価値を知って下さい」といつもメンバーに伝えている。もちろん僕も登録してるし、たくさんのオファーやスカウトをもらって、市場が僕のレジュメに対してどんな期待を持っているのか、いくら出してくれるのか、をある程度把握している。

もしそこで本当に働きたい会社ややりたい仕事と出会って、結果的に転職するのであれば、それはとても良いことだと思う。一番重要なのはみんなが楽しく仕事出来ること、みんなの人生がより良いものであることだし、それを会社が邪魔をすることは出来ない。転職したくなった、というのは、その人にとってのチャレンジが見つかったということだ。僕は過去に何人ものメンバーを送り出したけれど、引き止めたことは一度もない。

では、みんなが正しく市場価値を認識する世界で、経営層は何をするべきなのか?もちろん、今の会社でみんながキャリアアップすることが出来るような組織設計であり、新しいチャレンジをするための事業設計だ。重要なのは給与アップではなく、キャリアへの要望が満たされる場の提示だ。それで満たされないメンバーが転職するのは仕方がない。その会社でずっと働きたくなるような場を提供し続けることこそ、社員が長く働いてくれる会社を作りたい経営者にとって必要なアクションなんだと僕は思う。

昨今、大手グローバルIT企業が日本で積極的な採用活動をしている。給与だけで言えば日本の中小企業では転職先の比較対象にはならないだろう。もちろん高い給与も重要だ、でもしっかりとしたキャリア形成のビジョンが示せれば、採用市場で中小企業がグローバルIT企業に対抗することだって可能なはずだ。

今日伝えたかったことの3行まとめ。

  • 転職意思の有無に関わらず、自身のキャリアのビジョンを持とう。
  • 自分の市場価値を正しく知るために、転職サイトに登録しよう。
  • 経営層はメンバーが転職しなくてもキャリアアップできるような経営をしよう。

東洋経済新報社 (2020-07-31T00:00:00.000Z)
マーク・ベニオフ(著), モニカ・ラングレー(著), 渡部 典子(翻訳)

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