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読了:恩田 陸[ロミオとロミオは永遠に]

日本人だけが地球に居残り、膨大な化学物質や産業廃棄物の処理に従事する近未来。エリートへの道は唯一、「大東京学園」の卒業総代になることであった。しかし、苛酷な入学試験レースをくぐりぬけたアキラとシゲルを待ち受けていたのは、前世紀サブカルチャーの歪んだ遺物と、閉ざされた未来への絶望が支配するキャンパスだった。やがて最下級の「新宿」クラスと接触したアキラは、学園の驚くべき秘密を目にするが…。

恩田睦の本は堅苦しさが少なくて読みやすいですね。この作品の魅力は二本立て。


一つは「脱走劇」。全国からエリートの集まる巨大校、敷地は東京23区の中心部で広大、閉塞的で監視の強い環境から脱走する主人公と仲間達の、アイデアと行動にワクワクしたり、ハラハラドキドキしたり。著者の後書きにもあるように、脱走物のスピード感とスリルって心惹かれるものがありますよね。確かに映画「大脱走」は名作だと思います。スティーブ・マックイーン超かっこいい。
もう一つは「二十世紀感」。消費の時代と言われたこの時期に生まれたメインカルチャー・サブカルチャーを笑いのネタにしつつ、その魅力もちゃんと描いてます。二十世紀の消費は、確かに伝統や自然を壊して続けていましたが、でも人々の娯楽を貪欲にかき集めてイメージ化したもの、言うなれば「欲望の集大成」なんですよね。作者が「消費によって破壊された世界」を舞台にし、そこからの脱走を描きつつも、二十世紀を否定し切らなかった気持ちは僕も同意です。自然も大事だし、文化や伝統も大事だけど、あのギラギラした欲望の塊の時代は、確かに「娯楽」の溢れた時代でしたからね。要はバランスなんだろうと僕は思います。

そんな訳で「二十世紀ネタSF」とも言うべき本作、僕は大変楽しめました。



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