読了:ウィリアム・ギブスン:[ニューロマンサー]

サイバーパンクSFの金字塔として名高い本作、いつか読もうと思ったまま未読だったのですが、今回やっと読むことが出来ました。

正直に言うと、確かにストーリーは複雑に絡み合っているため分かり辛く、またキャラクター数も多いため読み返すこともしばしば。電子世界と人体を直接接続するコンソールや、相手の視覚に映像を流し込む能力や、かつては斬新であったであろうアイデアやガジェットも、今では使い古された感が否めません。

しかしこの作品が今でも何よりも輝いている理由は、「単語」にあると思います。この物語に溢れる、語感も音感も良い造語たち -例えばオノ=センダイ、パンサー・モダンズ、ホサカ、ICE(氷)- 、また発音ルビがふられることで魅力を得る訳語 -例えば自由界(フリーサイド)、没入(ジャックイン)・離脱(ジャックアウト)、迷光(ストレイトライト)- 。この造語の文字列の洪水が脳内に染み渡り、響き渡り、感受性を高めていく感じ。文字列によるトリップに近いと思います。この点については作者のギブスンだけではなく、訳者の黒丸尚氏も評価したいですね。

上記の理由があるからこそ、この作品を映像化するのは難しい、無理なのではないかと思います。是非本として楽しんで頂きたいエンターテイメントです。

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