読了:神林長平:[敵は海賊・海賊版]

神林長平という人は、作品の幅がすごく広いですね。

敵は海賊・海賊版 (ハヤカワ文庫 JA 178)
神林 長平
早川書房
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著述補助マシンによる著述、というギミックの上で、海賊課と最強の海賊のバトルが繰り広げられるのですが、この作品が傑作と思う点がいくつもあります。海賊課二人+船のコミカルなやり取り、海賊のハードボイルドなカッコよさ、小道具やメカニックアイテムのマニアックなまでの詳細表現、また二つの世界の混在によりと主要キャラが2人ずつ登場する、という舞台装置を上手く使ったストーリー展開、いやいやまだまだありますが、すごく面白かったです。スラップスティック・スペースオペラというか、ともすれば筒井康隆ぽくさえあるのですが、神林作品ぽくハードなSFらしい仕掛けもたっぷりあります。そしてその著作補助マシンというギミックが最初から最後まで効果的に生かされています。早く続編を読みたいと思わせる、娯楽作品の大傑作です。

なお、この「海賊版」というタイトルは、所謂非公式という意味での海賊版ではなく、海賊が主人公であるという意味のようです。こういう皮肉が利いたタイトルもまた良いです。

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