読了・森見 登美彦:[太陽の塔]

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何かしらの点で、彼らは根本的に間違っている。
なぜなら、私が間違っているはずがないからだ。
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こんな言葉で始まる本作品。日本ファンタジーノベル大賞受賞、ということだが、すごく真っ当な青春小説です。非モテの。

恐らく全男子の80%は経験したことがあるだろう、自意識過剰で、でも自分なりの規律には厳しくて、もやもやでどんよりな行き場の無い感情に支配されていて、性欲に踊らされるのも少しずつ慣れ初めて、そして暴走する恋愛感情を制御できない、10代後半から20代前半にかけた、まぁ酷い時期ですよね。屈折した非モテ意識からモテコミュニケーションに反発して、男同士でアホなことして、また女子から蔑まれるという、悲しい男のサガです。
そんな主人公の日常譚ですが、悲壮感が満ちていなく、ある種読了後に爽快ささえ感じるのは、淡々とした口調、コミカルな表現、そして思わず感情移入してしまう独白でしょうか。随所に散りばめられた詩的表現もすごく心地よい。クリスマスイブという非モテには万死に値するイベントに向けて、鬱屈した感情が屈折した自我と相まって高まっていく、というのはこの時期身につまされる人も多いかと思いますが、すごく上手に話しを進めていくなと感じました。

男性にとってはすごく共感する部分の多いこの小説、僕はすごく面白かったし、多くの男子が読むと良いと思います。

太陽の塔 (新潮文庫)
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森見 登美彦
新潮社
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