レビュー:筒井康隆:[銀齢の果て]

筒井康隆:[銀齢の果て]

この前に読んだのが「敵」だったこともあって、往年の筒井氏を思い出させるような快作。「敵」は日常を細かく描写することで、相対的に非日常を浮かび上がらせるような作品だったのですが、「銀齢の果て」はまさに筒井氏らしい、スラップスティックな作品です。
テーマ自体は高年齢社会という重たいものなのですが、ヒット作「バトルロワイヤル」へのオマージュを見せつつ、どたばたな殺戮が続きます。しかし「バトルロワイヤル」と違うのは、参加者が70歳以上という人生経験の豊富な老人達であること。殺害方法であれ、生存のための作戦であれ、そしてその中に潜む元々の日常生活の中の人間関係であれ、一筋縄ではいかないリアルさがあります。「バトルロワイヤル」を読むくらいなら、こっちのほうが絶対に面白い。
筒井氏自身も既に高齢となりましたが、まだまだ挑戦的だなと感じました。今後もご活躍頂きたい作家さんです。

ぎn

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