2009/07/07

読了:フィリップ・K・ディック:[ユービック]

ディックの代表作は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」なんだろうけど、はっきり言ってこっちのほうが絶対面白い。

超能力者集団と、それに対抗する「超能力を無効化する」能力をもった不活性者と呼ばれる集団の戦いの中、超能力者集団の罠に嵌った不活性者集団は絶滅の危機にあい...というのが物語のスタートのプロットなんだけど、そこに謎の能力を持った女性や物質の退化現象、仲間の謎の死といった色々なギミックが加わり、誰が敵で誰が味方か、誰が死んでいて誰が生きているのか、何が真実で何が虚構なのか、複雑に絡み合ってラストに至る様は秀逸。
「アンドロイドは...」でも心理的な駆け引きのシーンが多用されていたけれど、ユービックでは更に読者に対し心理的な罠がいくつも散りばめられていてグイグイ引きこまれていく。不活性者集団が罠に嵌ったところから急激に面白くなって、あっという間に読み終わった。

海外SFは訳者によって質がずいぶん変わるけど、この朝倉久志訳本はなかなか出来が良かったと思う。

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)
フィリップ・K・ディック 浅倉 久志
早川書房
売り上げランキング: 55501