2009/01/21

読了:神林長平:[小指の先の天使]

小指の先の天使
小指の先の天使
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神林 長平
早川書房
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本作は同一コンセプトの短篇を一冊にまとめたものです。幾度と無く絶滅の危機を迎えた人類は、生き残るため様々な手段を用意する。地球を脱出し火星を新天地とするもの、大規模な仮想空間を新たな新天地とするもの、そしてどちらの選択もせず、地上で強く生きていくもの...本来はただの短篇の一つだったものが、長い年月をかけて同一コンセプトの短篇が描かれ、一冊にまとめられた時には、最初から計算された連作集のようになっている。物語が一つ増えるごとに世界は広がっていく、いや世界は変容していく、といったほうが良いかもしれない。こんな風に世界観が格調されるとは、おそらく作者自身考えていなかったんじゃないかと思います。意識こそが人間なのか、記憶が人間なのか、肉体をもって人間とするのか、ならば人間は脳なのか内臓なのか...「人を人足らしめているものは何か、そして人はどこから来てどこへ行くのか?」は火星三部作で魂の在り方を訴えたように、作者のライフワークなのかもしれません。
肉体が滅んだ後も仮想空間で生き残り続ける意識というのは目新しい仕組みだなぁと思いました。間違いなくおもしろかったです。